歌人 北久保まりこ
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毎日新聞(夕刊)カナダで5月開催の朗読イベント
カナダで5月開催の朗読 歌人の北久保さん出演
歌誌『朔日』会員で歌人の北久保まりこさん=写真=が 5 月 19 日からカナダのバンクーバーで開催される朗読イベント「短歌・俳句フェスティバル」に参加する。俳句への関心は海外でも強く、国際詩祭に日本の俳人が参加するケースが多くなっているが、短歌が朗読されるのはまれだ。
カナダ在住の詩人や俳句を作るハイク詩人たちで組織する「ハイク・カナダ」の主催で 5 月 19 日から 3 日間、早朝連句会をはじめシンポジウム、吟行句会、俳句研究の発表、俳句・短歌の朗読など日程はびっしり組まれている。
北久保さんは 5 月 21 日に、オーストラリア在住で英文短歌を作っているアメリア・フィールデンさんとともに出演。第 3 歌集『 WILL 』から 25 首を選び、日本語で朗読した後、フィールデンさんが英訳して朗読する。母への挽歌や永遠の時間を求める詩的な作品が中心だが、中には<おだやかに灰は降りつづく廃村に叫びのごときしづけさの照る>など地球環境の荒廃をつく短歌も朗読される。
海外での短歌への関心は俳句に比べまだ低い。だが日本歌人クラブでは海外普及に力を入れ、英文短歌作品や歌集の翻訳も進んでいる。フィールデンさんも同クラブの会員。 7 年前に北久保さんと出会った。「人間の持つ清らかな悲しみが短歌作品としてどのように伝わるか。短歌という詩型がどう理解されるのか楽しみ」と北久保さん。また、 4 月中旬には『 WILL 』から選んだ英和対訳歌集『 On This Same Star 』(角川書店)が刊行される。
【酒井佐忠】