歌人 北久保まりこ
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日本歌人クラブ会誌「風」2013年『第七回国際交流短歌大会に参加して』
『第七回国際交流短歌大会に参加して』
晴れやかに富士山を望む湘南にて開催された本大会は、私にとって第五回第六回に続き三度目の参加となった。回を重ねる毎に内容は深まり、短歌国際化の核に迫るものとなっている、というのが私の率直な感想である。
今回特記すべきは、モデレイターに三枝昴之氏、パネリストにアーサー・ビナード氏、秋山佐和子氏、中川佐和子氏を迎えて行われたパネルディスカッションである。普段から英文短歌に携わり、英訳や和訳を手懸ける私たちが直面し続けている、翻訳の壁への飽くなき挑戦について、今目前で真剣に議論されているという事実に心底感動を覚えた。
非力ながら、私が海外で和英や和仏による短歌朗読を始めて、今年で八年目になる。短歌より遥かに歴史の新しい俳句が、海外の教科書に各国の母国語で掲載されるほどの普及をみせる今、短歌もそろそろ、全世界に広く知られ愛されることを意識し始めても良い頃なのではないだろうか。