歌人 北久保まりこ
記事詳細
国際交流短歌大会 2016年6月5日軽井沢にて
Kathabela Wilson(The secretary of The Tanka Society of America)氏によるスピーチ、「なぜ私が英文短歌をつくるのか」 Kathabela Wilson 氏は、2007年に私(北久保)が行った短歌朗読(カリフォルニア、パシフィックアジア美術館にて)にふれ、それまで知らなかった短歌に目覚め、作歌活動に入ったとして下さいました。 そして、短歌はまるで自分の心の故郷、母親のようだとも表現されました。 又、今回 彼女にとって初めての軽井沢滞在中に私と共に編んだ4首の連作「緑雨」を彼女と共に朗読することをご提案下さいました。 急な申し出ではありましたが、私にとりまして余りに光栄な彼女の思い付きに、抗う事より素直に応じる方が自然に思われ、僭越ながら登壇させていただきました。 生まれたての連作は以下の通りです。 「緑雨 The green rain」 新たなる命を得たり遠来の 友と立ちたる緑雨のうちに(まりこ) finding a new life with my dear friend from a long distance in the green rain (Mariko) 双つ児が共にひらきし真心よ 公開の日の菖蒲園にて(Kathabela) twins in the iris garden bloom together eye to eye opening day (Kathabela) 落葉松の薫る初夏私も 若木でありし昔もあらむ(まりこ) scent of Japanese larch early summer-- long time ago maybe I was a sapling too(Mariko) 濃緑の苔なりし我か恐らくは 古木に隠れ待っ幾世紀(Kathabela) maybe I was a deep green moss hiding for centuries on old trees waiting (Kathabela) |
|
ごく一部ですが、聴衆席にいらっしゃった方が |
短歌ジャーナルメンバーによるスピーチ「なぜ私が英文短歌を作るのか」に対し「The Tanka Seeds」というタイトルでお話致しました。 四首朗読を含む内容は下記の通りです。 私の夢は、二か国語朗読を通し、世界中に短歌の魅力を紹介し、俳句のように国際的に有名にすることです。 お陰様でその活動が11年目を迎え、世界26都市、回は80回を越えました。 先々月はアフリカ・タンザニアの首都にあるドドマ大学で、来月はニューヨークで、9月はインド・プネで開催される俳句のイベントで短歌を紹介する予定です。 しかし、私としては、世界何百都市 何千回と回を重ねなければ、本当の意味での手応えは得られない と感じております。 作品の完成度を高めることを第一に、一生涯 精進して参りたく存じます。 広島と長崎の忌に挟まれて汗しむるなり採血のあと bettween the date of Hiroshima and Nagasaki, my sweat seeps into the small puncture hole where they drew my blood 透明な碧をもつとも好みゐつ原子炉内に視らるるまでは cobalt blue was my favorite color... until I could see it in atomic wast 永遠を信じたくなるアカシアの傍に親子の象を見し午後 I'd like to believe in eternity... one noon beside the acacia tree an elephant and the baby 国境を越ゆる心に藍澄めり 旅人のまま死なむと思ふ pure indigo settles down in my heart when I cross the border ... I'd like to die as a wanderer |
|
今大会にアメリカからご出席下さいましたマリリン ・ヘーゼルトン氏(Ms. Marilyn Hazelton, the president of the Tanka Society of America)にご依頼頂きまして、同誌Facebookページに先月 掲載されました内容を、5日 大会夜のパーティ時に 英和で朗読致しました。 詳細は下記の通りです。 Tanka has the power to heal our broken heart. That can help us from the helpless terrible situation. I noticed that beside my Mother's bed in ICU Hospital. She was sleeping like a beautiful baby or a quiet Christmas Rose.... I kept writing tanka every day, every moment to keep myself during her last 17days. cherry avenue my late mother's favorite-- is there another world? petal drift 短歌には人の心の傷を癒す力があります。 それに気付いたのは、母の最期の17日間、ICUで過ごした時でした。 母はまるで美しい赤子のように、又は物言わぬクリスマスローズのように眠り続けていました。 私はその枕元で、毎日、毎秒、自分自身を保つために短歌を書き続けました。 吹き溜まるあの辺りから隠り世か 亡母の好みし桜の並木 |