歌人 北久保まりこ
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角川書店 短歌(2023年10月号) ミニエッセイと短歌が掲載されました
角川書店『短歌』2023年10月号、連載 第九回「嗜好品のささやき」にミニエッセイと短歌をご掲載頂きました。ありがとうございました。
巻末連載
第九回 嗜好品のささやき
「おもいで」
北久保まりこ
酌み交はす和やかな輪に旅立ちし人も加はる信濃追分
しなの鉄道の小さな駅から散歩がてら行った所に、ひっそりとした蕎麦屋がある。 お姉さんに、胡桃蕎麦と冷酒をたのむと「明鏡止水、ありますよ」。無愛想ながら私の好みを覚えていた。 静かに注がれ、表面張力をこえるまでを見守るのが好きだ。
別荘からいらした小説家のK先生と、ここでばったりお会いした夏が過る。 赤ワインを嗜み、九十の坂を超えて尚健筆を揮っておいでだった。 ひんやりと爽やかな味わ いが、世の隔て無く懐かしい方々を連れてくる。